よくわからん答案4
民法演習サブノート 答案? 141〜
第141問
1 小問⑴
⑴ ⅰ AがBから譲渡通知を委託されていた場合
AはBから譲り受けた売掛金債権の弁済を請求することが考えられる(466条1項)。
これに対して、CはAB間の債権譲渡はCに対抗できないため、Aの請求は認められないと主張することが考えられる(467条1項)。
債権の譲渡の通知は譲渡人が債務者に通知をする必要がある。そして、本件では譲受人であるAが通知をしているため、売掛債権の譲渡はCに対抗できないとも思える。
しかし、債権譲渡の通知をすることができるのは、債権の譲渡人とその包括承継人、同人の受任者である。そして、本件のAは債権の譲渡人であるBから委託を受けているため、受任者にあたる。そうすると、Aは有効に債権譲渡の通知をすることができる。
よって、AはCに対して売掛金債権の弁済を請求することができる。
⑵ ⅱ Aが自発的に通知を行っていた場合
Aが自発的に行った場合には、Aは債権譲渡の通知をすることができない。
2 小問⑵
⑴ ⅰ 緊急搬入時にDの家族が付き添っていた場合
DはFに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることが考えられる(415条1項)
Fに債務不履行があったといえるか。
本件では、FとDの家族の間では準委任契約(656条)が締結されている。そのため、FはDについて善管注意義務を負う(644条)。そうすると、Dには適切な検査及び転院措置を行う義務があったといえ、これを怠ったことは善管注意義務違反にあたる。したがって、Dには債務不履行が認められる。
そして、Dには化膿性髄膜炎が生じたことによる治療費等の損害が生じている。
また、Fには上記の義務違反がある以上、帰責自由が認められる(415条1項ただし書)。
以上のことから、DのFに対する請求は認められると考えられる。
そして、債務不履行に基づく請求について、注意義務の軽減を認める規定はない。
⑵ ⅱ D自身が救急車を要請したが、単身搬送中に意識不明に陥った場合
FはDへの簡易な処方は緊急事務管理にあたるため、注意義務が軽減されると主張する(698条)。
DとFには何らの法律上の関係がなく、FはDに対して何らの義務を負っていなかったといえる。
そして、Dは高熱を出し、救急車で搬送されており、Dには身体に対する急迫の危害があったといえる。そして、FはDの危害を免れさせるために簡易な処方を行っている。これらのことから、Fによる簡易な処方は緊急事務管理にあたる。
よって、注意義務の軽減は認められる。
第142問
1 小問⑴
⑴ BはDに対して、Cの相続税の半分の額を事務管理(697条1項)による費用償還請求を行う(702条1項)。
⑵ 事務管理が成立するか。
BはCの相続税を支払う法律上の義務は有していなかった。そして、Bの相続税の支払いにより、Dは相続税を払わなくていいという利益を得ている。そうすると、BはCに対して費用償還請求をすることができる。
⑶ そして、BとDはともにCの子であるから相続人であり(887条1項)、その相続分は2分の1ずつである(900条4号)。そうすると、Cが負っていた上記の費用償還義務の半額をDが負うことになる。
⑷ よって、BはDに対してCの相続税の半分の額を請求することができる。
2 小問⑵
⑴ FとGはEの賃料債権を相続により2分の1ずつ承継する(896条1項本文、900条4号)。
⑵ では、Gが納付した所得税と市県民税に関する償還請求権は認められるか。
所得税の納付は他人の事務にはあたらないため、事務管理は成立しない。
⑶ そのため、相殺(505条1項)をすることもできない。
3 小問⑶
⑴ JはIが相続財産を売却することにより得た対価は「受取物」にあたるとして、引き渡しを請求することが考えられる(701条、646条1項)。
⑵ JがIによる相続財産の処分行為を承認した場合には、相続財産の対価は「受取物」にあたる。
⑶ よって、Jの請求は認められる。
第143問
1 小問⑴
⑴ 事務管理(697条1項)が成立し、代金の増額は有効になる。
⑵ しかし、事務管理は事務管理者と本人の間の法律関係を指し、事務管理者が本人の名で第三者となした法律効果を本人に及ぼすためには、代理その他別個の法律関係を必要とする。
そうすると、Dがした行為をABに帰属させるためには、DがAとBの代理人である必要がある。DはAとBの代理人であるから問題はないと考えられる。もっとも、Dが代理権を濫用した場合や(107条)、Dが代金を増額させる権限を有していなかった場合には、Dが増額を承諾した行為は無権代理となり(113条1項)、A及びBの追認がなければ有効とならない。
2 小問⑵
⑴ 事務管理が成立し、解除の効果は有効になる。
⑵ しかし、事務管理は事務管理者と本人の間の法律関係を指し、事務管理者が本人の名で第三者となした法律効果を本人に及ぼすためには、代理その他別個の法律関係を必要とする。
当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除はその全員からしなければならない(544条1項)。
AがBに無断で解除の意思表示をしたことは無権代理??
無権代理に当たる場合には、Bが追認しない限り、CはAによる解除が有効であることを理由に、甲の引き渡しを拒否できない。
第144問
1 CはBに対して不当利得返還請求を行う(703条)。
2⑴ Bは甲の修理費10万円という利得を得ている。
⑵ また、CはAから甲の修理費を受け取ることができていないため、甲の修理費10万円という損失が生じている。
⑶ Bの利得がなければ、Cの損失は生じていないため、両者には因果関係が認められる。
⑷ Bの利得に法律上の原因がないといえるか。
AとBの賃貸借契約を全体としてみて、Bが対価関係なしに利益を受けたといえる場合には、公平の観点から法律上の原因が認められると解すべきである。
AとBの間には、甲を賃貸借する際の甲の修理費についての定めはない。そのため、Bは甲の修理について何らかの対価を支払ったという事情はないといえる。したがって、Bの利得には法律上の原因がないといえる。
3 よって、CのBに対する不当利得返還請求は認められない。
第145問
1 小問⑴
⑴ ⅰAB間の売買契約が無効であった場合 (121条の2第1項?)
AはBに対して、10万円を返還するように原状回復請求を行う。
無効であるから、AとBは互いに原状回復義務を負う。
よって、AのBに対する請求は認められる。
⑵ ⅱAが振込以来用紙の振込先欄に誤って記載した場合 (表示の錯誤では?だったら121条の2?違う?)
AはBに対して10万円の不当利得返還請求(703条、704条)をすることが考えられる。
イ Aは10万円の損失を受けている
ウ Bは10万円の利得を得ている。
エ Aが書き間違ったことによりAが損失を受けており損失と利得には因果関係が認められる。
オ 法律上の原因AのBに対する代金債務は存在しないため、Bの利得には法律上の原因がない。
よって、請求は認められる。
⑶ ⅲC銀行の従業員が誤って振り込んだ場合
CはBに対して10万円の不当利得返還請求(703条、704条)をすることが考えられる。
イ Cは10万円の損失を受けている。
ウ Bには10万円の利得が生じている。
エ Fが誤って振り込んだことによりCに損失が生じBに利得が生じているため、両者には因果関係が認められる。
オ BはC銀行に対して10万円の預金債権を得る根拠がないため、Bの利得には法律上の原因が認められない。
よって、Cの請求は認められる。
2 小問⑵
⑴ IはHに対して30万円を不当利得返還請求をすることができるか。
⑵ Iは30万円の損失を受けている。
⑶ Hは30万円の利得を得ている。
⑷ HがIから30万円を騙し取ったことで、Iは30万円の損失を受け、Hは30万円の利得を受けている。そのため、Iの損失とHの利得には因果関係が認められる。
⑸ Hの利得に法律上の原因がないといえるか。
騙取金について①損失と利得との間における社会的因果関係及び②利得者の悪意または重過失が必要となる。
上述のように因果関係は認められる(①充足)。
Hが悪意または重過失があるような事情は認められない(②不充足)。
したがって、法律上の原因がないとはいえない。
⑹ よって、Iの請求は認められない。
第146問
1 BはAに対して不法行為に基づく損害賠償請求(709条) (←題意ではない?)
故意がある。
甲の時価1万円の損害
故意がなければ損害は生じなかったといえるため、因果関係は認められる。
よって損害できる?
2 BはAに対して不当利得返還請求(支出利得だから事務管理ってこと?不当利得の類型論わからん)
Bに損失があるといえるか。
BはAのCに対する譲渡を承認し、AのCに対する譲渡を有効とした場合には、甲の所有権をBは失うことになる。そうすると、Bは甲の1万円の損失を被ることになる。
Aには甲を売ったことによる1万円の利得を得たといえる。なぜなら、甲の時価は1万円であり、3万円で売ったのはAの成果といえるからである。
損失がなければ利得はなかったため因果関係も認められる。
Aが甲を得たという利得には法律上の原因の原因はない。
よって、BはAに対して1万円を請求することができる。
3 BはCに対して不当利得返還請求をすることが考えられる。
Bは甲を失ったことによる1万円の損失がある。
Cは甲を得ており利得がある。
損失がなければ利得はなかったため、因果関係も認められる。
Cは無権利者から甲を譲り受けており、Cが甲を得たことについて法律上の原因はない。
ここで、Cは善意の占有者であるから果実を取得すると主張する(189条1項)。
Cは善意であるから、上記主張は認められる。
よって、BのCに対する不当利得返還請求は認められない。
4 BはCに対して191条本文に基づく損害賠償請求や709条に基づく損害賠償請求をすることはできない。
第147問
1 AはBに対して甲の贈与契約が公序良俗に反して無効であると主張し(90条)、原状回復請求として、甲の返還を請求することが考えられる(121条の2第1項)。
これに対して、Bは不法原因給付であるから、甲の返還請求は認められないと主張する(708条)。
では、AはBに甲を「給付」したといえるか。不動産の贈与における「給付」の有無は登記の状態で判断する。
本件では、甲の登記がAからBに移転しているかはわからない。そのため、甲の登記がBに移転している場合には、「給付」したといえることになる。
よって、甲の登記がBに移転している場合にはBの主張が認められ、AのBに対する請求は認められない。
2 AはBに対して所有権に基づく返還請求権としての甲の明渡請求をすることが考えられる。
不法原因給付を理由として、甲の返還請求が認められない場合、甲の所有権は反射的効果としてBに移転する。そのため、Aによる甲の所有権に基づく請求は認められない。
よって、前述したように、甲の登記がBに移転していた場合、不法原因給付を理由として甲の返還請求が認められず、AのBに対する所有権に基づく請求も認められない。
第148問
1 設問⑴
本件被害者はAに対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることが考えられる(709条1項)。
では、Aに「過失」が認められるか。
「過失」の有無は予見可能性を前提として結果回避義務違反の有無によって判断する。
本件では、甲により重い神経症状が発生することは知られていたため、被害者に対する権利・法益侵害および損害が発生することについて、予見可能性は認められる。
医薬品については、副作用の被害を適正な範囲内に留めることがで結果回避義務となる。本件の甲については、既存のワクチンと同程度の頻度・重症度の副作用に留まっているため、Aには結果回避義務違反は認められない。
よって、本件被害者の請求は
2 設問⑵
本件被害者はAに対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることが考えられる。
では、Aに「過失」が認められるか。
「過失」の有無は前述のようにして判断する。
甲については、重篤な副反応の生じる恐れが専門雑誌で指摘されているため、被害者に対する権利・法益侵害および損害が発生することについて、予見可能性は認められる。
甲については、既存のワクチンよりも重症度の高い副反応が生じているため、結果回避義務違反が認められると考えられる。もっとも、他の安全確認等を行っていれば、結果回避義務違反は否定されるとも考えられる。
よって、 本件被害者の請求は認められる可能性も認められない可能性もある。