よくわからん答案3

民法演習サブノート71〜

第71問

1 BはAに対してすべり台の引き渡しの強制を求めることができるか。

⑴ BはAに対してすべり台を引き渡す債務を負っていたか。

 BとAの間ではすべり台を5万円で売買するという売買契約(555条)が締結されている。

そうすると、BはAに対してすべり台を引き渡す債務を負っていた。

⑵ そして、債務者が任意に債務の履行をしないときには債権者は裁判所に履行の強制を請求することができる(414条1項)。

 本件のBはすべり台を引き渡すという債務を履行していない。

 また、債務の性質上、強制執行を許さないというような性質はない(414条1項ただし書)。

 

2 どのような方法での強制を求めることができるか。 

 ???

 

 

 

第72問

1 小問⑴

 AB間には売買契約(555条)が締結されている。そして、甲のエンジンには不具合が生じているため、甲はAB間の契約の内容に適合していないといえる。そのため、AはBに対して追完請求をすることが考えられる(562条1項本文)。

 Bは過分な費用を要するため、履行不能(412条の2第1項)であるから、追完請求はできないと反論することが考えられる。

 履行不能にあたるか。

 そうすると、取引上の社会通念上履行不能にあたるといえる。

 したがって、履行不能にあたる。

 よって、AはBに対してエンジンを載せ替えて甲を引き渡すことを請求できない。

2 小問⑵

 AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求(415条1項)をすることが考えられる。

 履行不能となっても、415条1項に基づく請求は可能である(412条の2第2項)

 そして、BはAに対して甲の引き渡しを行っていないため、債務の不履行がある。

 そして、 Aには甲の引き渡しを受けられないことにより、履行利益である転売利益という損害が生じている。

 もっとも、Bに帰責自由が認められない場合には、損害賠償請求は認められない(415条1項ただし書)。

 そして、帰責自由が認めれられない場合には、Aは契約を解除することで債務を免れることが考えられる(542条1項1号)。また、Aは解除をしない場合でも、反対給付の履行を拒むこともできる(536条1項)

 

 

第73問

1 小問⑴

⑴ BはAに対して、売買契約(555条)に基づく灯油引渡請求をすることが考えられる。

⑵ これに対して、Bは履行の拒絶をすることが考えられる(567条2項、1項)。

ア 567条の適用を受けるには、Bの灯油引渡債権が特定物債権となっている必要がある。

イ 種類債権が特定されるには、「必要な行為」を完了する必要がある(401条2項)。本件の売買契約は、AがB宅を訪れ給油するというものであるから、Aは持参債務を負っていたといえる。

 持参債務の場合、現実の提供をしなければ必要な行為をしたとはいえない。また、給付する物が他の種類物と区別されている必要がある。

ウ 本件のAについては、配送車に灯油を準備していた。そして、Aは配送車にBに供給する灯油以外も積載していた。そうすると、AはBに供給する灯油と他の灯油を区別しているとはいえない。

エ したがって、Bの灯油引渡債権は特定物債権となっていない。

オ よって、Bは履行の拒絶をすることはできない。

⑶ 以上より、Bの請求は認められる。

 

2 小問⑵ 解除はせんの?受領義務を認めるのかという話?

⑴ BはAに対して、売買契約(555条)に基づく灯油引渡請求をすることが考えられる。

⑵ Aは履行の拒絶(536条1項)をすることが考えられる。

 種類物債権が履行不能となるためには、特定物債権となっている必要がある。

 種類債権が特定されるには、「必要な行為」を完了する必要がある。本件の売買契約では、 灯油の引き渡しはAの営業所で行われることになっていたため、灯油の引渡債務は取立債務であったといえる。

 取立債務の場合、「必要な行為」は、目的物を他の物から分離し、引渡しの準備をし、その旨を債権者に通知することである。

 

⑶ BはAの責に帰すべき事由により、履行不能となっているため、Aは履行拒絶することができないと反論する(536条2項)。

 Aは履行の提供をしており(492条)、Bは受領していない。そのため、Bは受領遅滞に陥っている(413条1項)。そうすると、Aは自己の財産に対するのと同一の注意をすれば足りる。そして、受領遅滞中に履行不能となった場合、当事者の双方の責に帰することができない事由により履行不能となった場合、債権者の責に帰すべき事由によるものとみなされる(413条の2第1項)。

 本件のAには上記の注意義務に反するといえるような事情はない。また、Bは受領遅滞にあったといえる。そうすると、本件で灯油の引き渡しが履行不能となったことはBの責に帰すべき事由によるものとみなされる。

 よって、Aは灯油の引き渡しを拒絶できる。

⑷ 以上より、Bの請求は認められない。

 

 

第74問

1 ⑴の場合

⑴ BはAに対して委任契約(643条)の債務不履行に基づく損害賠償請求(415条1項)をすることが考えられる。

⑵ Aに債務不履行が認められるか。

 AはBから依頼されて甲をBから借りて運転していた。そのため、 Aは委任事務を処理するために甲をBから受け取っているといえ、BはAに対して受取物返還義務(646条1項)を負う。この債務は、特定物である甲を引き渡す債務であるから、引き渡しをすべき時の現況でその物を引き渡せば足りる。

 本件のAが甲を引き渡すべき時期は、買い物を終え、BをB宅まで送り届けた時点である。甲のヘッドランプが壊れたのは商業施設の駐車場であるから、甲のヘッドランプは引き渡すべき時期よりも前に壊れていたといえる。そうすると、Aはヘッドランプが壊れた状態の甲を引き渡せば足りる。

 したがって、Aがヘッドランプが壊れた甲をBに引き渡しても、Aには債務不履行は認められない。

⑶ よって、BはAに対して損害賠償請求をすることはできない。 

 

2 ⑵の場合

⑴ BはAに対して委任契約(643条)の債務不履行に基づく損害賠償請求(415条1項)をすることが考えられる。

⑵ Aに債務不履行が認められるか。

 AはBから依頼されて甲をBから借りて運転していた。そのため、 Aは委任事務を処理するために甲をBから受け取っているといえ、BはAに対して受取物返還義務(646条1項)を負う。この債務は、特定物である甲を引き渡す債務であるから、引き渡しをすべき時の現況でその物を引き渡せば足りる。

  本件のAが甲を引き渡すべき時期は、買い物を終え、BをB宅まで送り届けた時点である。甲のヘッドランプが壊れたのは、Bを送り届けた後にBに無断でドライブに出かけた時である。そうすると、甲のヘッドランプは引き渡すべき時期よりも後に壊れているといえ、Aはヘッドランプの壊れていない甲を返還する義務を負っている。

 したがって、Aがヘッドランプの壊れた甲をBに引き渡すことは、債務不履行にあたるといえる。

⑶ よって、BはAに対して損害賠償請求をすることができる。

 

3 ⑶の場合

⑴ Bは売買契約(555条)の目的物が契約内容に適合していないとして、債務不履行に基づく損害賠償請求をすることが考えられる(564条、415条1項本文)

⑵ AとBは甲の売買契約を甲のヘッドライトが壊れる前に締結している。甲の引き渡し債務は特定物債務であるから、Aは甲の引き渡し時に有する状態で引き渡さなければならない。引き渡す時期は原則として、契約の締結時であるから、Aは契約締結時の状態で甲を引き渡さなければならない。そうすると、ヘッドライトが壊れた甲を引き渡すとことは、債務の不履行にあたるといえる。

⑶ よって、BはAに対して債務不履行に基づく損害賠償を請求することができる。 

⑷ また、BはAに対して、追完請求(562条1項)をすることができ、これに応じない場合には代金減額請求(563条1項)をすることができる。

 

 

第75問

1 小問⑴

 法律の規定により利息が生じる場合に法定利率が基準となる。この場合には、

 また、当事者の合意で利息が生じる場合で、利率が約定しない場合には、法定利率が用いられることになる。

2 小問⑵

⑴ 債務不履行構成の場合

 債務不履行に基づく請求(415条1項)の場合はその請求をした時点から履行遅滞に陥ると解される。そのため、Ⅱの時点が起算点となる。

⑵ 不法行為構成の場合

 不法行為に基づく請求(709条)の場合は損害の発生した時点から、履行遅滞に陥ると解される。そのため、Ⅰの時点が起算点となる。

3 小問⑶

 この場合、債務不履行構成の場合でも、不法行為構成の場合でもⅠの時点が法定利率の基準となる。

 

 

第76問

1 小問⑴

 BのAに対する415条1項に基づく損害賠償請求が認められれば、Dはこの権利を相続するため(896条)、DはAに損害賠償請求をすることができる。

⑴ BとAは雇用関係にあり(623条)、AはBに対して安全配慮義務を負っていた。安全配慮義務は、結果発生の予見可能性が前提となる。

 本件では、AはCが素行の悪さを知っており、Cによる何らかの被害が生じることが想定できた。そうすると、AはBに対して、防犯設備を充実させたり、宿直の業務についての教育などをする義務を負っていたといえる。しかし、Aの社屋にはインターホンなどの防犯設備が施されておらず、宿直業務に関する従業員に対する教育も行われていなかった。このような状況では、A社は安全配慮義務を尽くしたとはいえない。

 したがって、A社には安全配慮義務違反が認められる。

⑵ 死亡により、遺失利益などの損害が生じている。

⑶ 安全配慮義務を尽くしていれば、上記の損害は生じなかったため、因果関係も認められる。

⑷ また、帰責事由も認められる(415条1項ただし書き)。

⑸ よって、BのAに対する損害賠償請求権は認められ、相続人であるDはAに対して損害賠償請求をすることができる。

 

2 小問⑵

 415条1項損害賠償請求と同様に、DはAに709条に損害賠償請求ができるか。

⑴ 上述のような義務を負っていたにもかかわらず、その義務を怠っている。

 そうすると、Aには過失が認められる。

⑵ Bは生命を侵害され、遺失利益などの損害が生じている。

⑶ また、過失と損害には因果関係も認められる。

⑷ よって、DはAに対して709条に基づく損害賠償請求をすることができる。

 

第77問

1 ⑴「5月1日」と合意していた場合

 Aが履行遅滞(412条1項)に陥っているとして、損害賠償請求をすることが考えられる(415条1項本文)。

 履行遅滞にあったといえるか。

 確定期限があるときは、債務者はその期限の到来した時から遅滞の責任を負う(412条1項)。

 本件では、引き渡しの時期を「5月1日」と合意しているため、5月1日が期限となる。そして、Aは6月1日の時点で甲をBに引き渡していないため、5月1日以降について遅滞の責任を負う。

 よって、⑴の場合、BはAに対して損害賠償を請求することができる。

2 ⑵「甲の製作者Cの生存中」とだけ合意していた場合

 Aが履行遅滞(412条1項)に陥っているとして、損害賠償請求をすることが考えられる(415条1項本文)。

 履行遅滞にあったといえるか。

 不確定期限が定められている場合には、期限の到来後に請求を受けた時または期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う(412条2項)。

 本件では、「甲の製作者Cの生存中」とだけ合意されている。そして、これはCが生存していれば履行するのはいつでも良いため、不確定期限にあたる。そうすると、甲が生存している6月1日現在、Aは履行遅滞に陥っていない。

 よって、⑵の場合、BはAに対して損害賠償請求をすることはできない。

3 ⑶合意がなかった場合

 Aが履行遅滞(412条1項)に陥っているとして、損害賠償請求をすることが考えられる(415条1項本文)。

 履行遅滞にあったといえるか。

 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う(412条3項)。

 本件では履行について期限を定めていない。そのため、AはBから履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負うことになる。

 よって、BはAに対して履行の請求をしてAが履行をしなければ、履行遅滞を理由とする損害賠償請求をすることができる。

 

 

第78問

1 ⑴の場合

 BはAに対して履行遅滞による損害賠償請求(415条1項本文)をすることが考えられる。

 これに対して、Aは未曾有の大地震により返済できなかったと主張する。

 しかし、不可抗力であることは、抗弁とはならない(419条3項)。そのため、Aの主張は認められない。

 よって、BはAに対して損害賠償請求をすることができる。

2 ⑵の場合

 BはAに対して履行遅滞による損害賠償請求をすることが考えられる。

 これに対して、Aは損害の額が証明されていないため、損害賠償請求はできないと主張する。 

 しかし、金銭債務に関する損害賠償の場合、損害の証明は不要となる(419条2項)。そのため、Aの主張は認められない。

 よって、BはAに対して損害賠償請求をすることができる。

3 ⑶の場合

 BはAに対して履行遅滞による損害賠償請求をすることが考えられる。

 AはBは投資などを一切せず放置していたのであるから、Bには損害が生じないと主張する。

 しかし、遅延損害金は法定利率により定められる(419条1項)。

 よって、BはAに対して損害賠償請求をすることができる。

4 ⑷の場合

 BはAに対して履行遅滞による損害賠償請求をすることが考えられる。また、100万円の返済を受けていた場合には200万円に増やすことができたとして100万円の損害賠償請求を主張する。

 しかし、損害は遅延損害金に限られ、他の損害については請求できない。

 よって、BはAに対して遅延損害金の部分に限って、損害賠償請求をすることができる。

 

 

第79問

1 小問⑴

 BはAに対して履行不能を理由として、損害賠償請求をすることが考えられる(415条1項)。そして、履行不能の場合には債務の履行に代わる請求を行うことになる(415条2項1号)。

 不動産の二重譲渡の場合には、当該不動産の登記を移転させた場合には、履行不能に陥ると解される。

 本件では、Cが甲土地の登記を具備したため、Aの債務は履行不能となっている。

 よって、BはAに対して損害賠償請求をすることができる。

2 小問⑵

 履行不能の場合、不能となった時点で債務者は填補賠償請求権を取得するため、その時点が損害賠償請求権の算定の基準となる。

 本件で、履行不能となるのはCが甲土地の登記を具備した時点である。

 よって、損害賠償額は6月1日の所有権移転登記手続完了時を基準として算定される。

3 小問⑶

 解除(542条)をして填補賠償請求する場合(415条2項3号)、塡補賠償請求権は当然に減額される。そのため、Bは200万円の支払い義務を負う。

 一方で、解除しない場合は履行不能を理由として填補賠償請求をすることになる(415条2項1号)。この場合、ABの一方が相殺の意思表示をすれば(506条1項)、Bは代金債務を免れて200万円の支払い義務のみを負う。

 法律構成が変わるのみで結果は変わらないと考えられる。

 

 

第80問

1 小問⑴

 BはAに対して債務不履行を理由とする損害賠償請求をする(415条1項本文)。

 では、その損害の範囲はどのように解すべきか。

 損害は原則として、通常生ずべき損害に限られ(416条1項)、当事者が予見可能であった場合のみ、特別の損害も損害に含まれる(416条1項)。

 本件では、6月1日に履行不能となっており、この時点で債務の不履行が生じているといえる。そして、ABCのいずれも甲土地の価値が上昇し続けることを予見すべきであったとはいえない。そうすると、Bの損害は6月1日の時点での甲土地の時価である1400万円である。

 よって、BはAに対して1400万円の損害賠償請求をすることができる。

2 小問⑵

 BはAに対して債務不履行を理由とする損害賠償請求をする(415条1項本文)。

 では、その損害の範囲はどのように解すべきか。

 損害は原則として、通常生ずべき損害に限られ(416条1項)、当事者が予見可能であった場合のみ、特別の損害も損害に含まれる(416条1項)。

 

3 小問⑶